我が国初の育成品種「粋豊」の品種特性と育成経過


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粋豊の結実状況(成熟期)

平成10年4月9日

山下重良殿

                    農林水産省農産園芸局種苗課長

       品種登録の出願の受理について

農林水産植物の種類:ばんれいし

出願品種の名称:粋 豊

上記品種に係る出願は,平成10年3月6日付けをもって受理されましたので,お知らせします。
 なお,出願受付け整理番号は,第10581号です。


説 明 書 (以下は農林水産大臣あてに申請した品種登録願に添付した書類の概要です)

農林水産植物の種類 チェリモヤ

出願品種の名称 粋豊(すいほう)

出願者の氏名又は名称 山下重良

1.出願品種の植物体の特性

 (1)概要
 育成品種「粋豊」は,チェリモヤの品種分類から,フィンガープリント(
Fingerprint types)に属し,果実はカリフォルニアの品種ホワイト(White)に類似しているが,育成地では幾分大きいく,微かな酸味もあって糖度高く,食味が優れている.

 成熟果実の外観については,形状は心臓型で,梗窪が深く,フィンガープリントの紋様がやや不明瞭な点でホワイトと区別でき,果皮色はやや青みを帯びた浅緑色〜浅黄味緑を呈し,微かに果粉を生じる.

 樹勢は中庸で,強勢なホワイトに比べてればやや弱い.葉は,大きさにおいてはホワイトと類似するが,葉身の波打ち程度が大きい点に特徴がある.

 最も特徴とする形質は,花弁の長さで,長いものは60mmにも達し,(ホワイト:平均30〜40mm)ステージにおいて雌しべの保湿に役立つためか受粉効果が安定し,結実率が高いことを観察している.

 (2)特性は,別紙特性表(Y-101の特性調査結果,および試作データ)のとおり.

 (3)最も類似する対照品種と区別される特性

    a.対照品種名 ホワイト

    b.区別される特性  果実の梗窪が深く,フィンガープリントの紋様はやや不明瞭な果実が多いこと,葉身の波打ち程度が大きいほか,花弁の長さが長いことで区別できる.

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粋豊(右)とホワイトの花

2.固定品種又は交雑品種の別 : 固定品種

  固定品種にあっては,繁殖の方法 : 栄養繁殖

3.出願品種の育成の経過

 (1)両親名 母親:不明  父親:不明

 (2)育成地  和歌山県那賀郡桃山町中嶋2018番地

 (3)育成の目標: 日本の気候,とくにハウス栽培に適する大果で高品質な形質をもつ経済的品種の育成

 (4)育成の経過

  育成者は1991年に自園で栽培している外国原産のチェリモヤ品種,ホワイト,ビッグシスター,セイバーの果実から採取した種子を播種,育てた実生に1992年3月,ビッグシスターとホワイトの各穂木を接ぎ木して苗木を育成.1993年に140本の苗を約600uのハウスに定植した.
 翌年,定植した苗のなかに,樹の性状や果実形質が接ぎ木した品種とは明らかに異なるもの3樹を発見,
Y-101,Y-102,及びY-103の系統番号を付けて観察,調査した.

 変異の原因については,接ぎ穂の芽条変異か台木実生に由来するものかは明かでない.その後果実を試食,調査した結果,そのうちのY-101が食味,外観ともに優れていた.1995年,1996年のそれぞれ3月にY-101の穂木を同一園内のビッグシスター樹の側枝に高接ぎする一方,和歌山県果樹園芸試験場にも穂木を提供して接ぎ木試作を依頼した.

 観察を続けながら栽培し,1996年から1997年にかけて特性を詳細に調査した結果,高接ぎ樹も原木と同様の果実を着け,明らかにこれまでの栽培品種と異なり,優れた形質をもっていることを確認し,「粋豊」と命名して品種登録を申請した.

 (5)特性の検定の概要

a.栽培地 和歌山県那賀郡桃山町中嶋2018番地

b.栽培年月及び期間 1992年〜1997年(5年間)

c.栽培の方法 

 1993年に定植した原木1樹及び,1995と1996年に側枝の一部に高接ぎした樹を一般栽培樹と同様に栽培し,果実特性を調査する一方,和歌山県果樹園芸試験場に依頼して特性検定を実施した.
 1999年2月,栽培ハウスの6年生樹(品種:エルバンポ)10本に,側枝一挙更新法で高接ぎして栽培中で,原木同様の生育特性を示し,優れた果実が結実することを実証した。

d.詳しい内容は添付書類とする(測定数値等)

4.出願品種の主たる用途 : 生食用

5.出願品種の栽培の方法

 (1)適応地域: 本品種はチェリモヤ栽培に適した自然環境の地域,または栽培に適した環境に維持されるハウス等での栽培.

 (2)作  型: 冬季に0℃以下に下がらない地域では露地栽培も可能であるが,我が国の大部分では,冬季に寒害を起こさない程度の保温可能なハウス栽培,もしくは加温栽培が必要である.

 (3)その他栽培上の留意事項: 両性花であるが,日本では有効な花粉媒介昆虫が居ないので人工受粉が必要である.

6.その他(参考となるべき事項)


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