整枝せん定と枝管理

     07/09/10


4.整枝法

  樹形と仕立て方

 チェリモヤは自然に生長させると主幹形,またはやや開張した半球形の樹冠を形成する。しかし,ハウス栽培ではハウスの高さや作業性を考慮して人為的に樹形を仕立てる必要がある。著者はこれまでの経験からみて,次のような整枝が適していると考えている。

 紡錘形整枝(主幹形)
 主幹を直立させて育て,主幹の周囲に側枝を適当な密度に配置し,これに結果母枝や結果枝を発生させる。リンsyukan.jpg (9719 バイト)
ゴやモモなどの矮化栽培で行われている細型紡錘形に準じた整枝である。ハウス栽培では,主幹の高さは3m程度に制限する。側枝は下部ではやや大きく,上部にいくにしたがって短くする。
 この整枝法では,栽培ハウスの軒高は3m程度が必要で,ある程度樹高が高くなるのはやむを得ないが,主幹の上部に発生する発育枝は真夏には日よけの役割をさせ,秋になればせん定すればよい。

 双幹形整枝
 地上30〜50cmの位置から主幹を2本に広く分岐させてU字型,またはV字型にそれぞれの主幹を直立に伸ばす。主幹相互の間隔が狭いと側枝を十分配置できなくなsoukan.jpg (8503 バイト)るので,分岐した主幹を水平に近く広げて相互に2m以上の間隔をとって直立,またはやや広げて伸ばす。なお,この場合主幹は樹列と直角方向に分岐させる。
 主幹の高さは,やはり3m程度に制限し,2本の主幹の周囲に側枝を適当な密度に配置し,これに結果母枝や結果枝を発生させる。
 紡錘形整枝に比べて初期の結果量を増やすことができる。

 

 

開心自然形整枝kaisin.jpg (7853 バイト)
 モモやカキなどの栽培で行われている整枝法で,地上50cm程度の主幹に2〜3本の主枝を分岐させ,これを斜立させて伸ばし,各主枝にそれぞれ2〜3本の亜主枝を配置する。
 主枝は成木になると開張してくるので,当初は45度くらいの角度に真っすぐに伸長させ,基部から1〜1.5mの位置に第1亜主枝を斜め外側に向かって配置し,第2亜主枝は第1亜主枝の反対側に車枝にならないよう交互に配置する。こうして,空間を無駄なく平面的,かつ立体的に利用できるように数年かけて骨格を形成する。
 亜主枝,または主枝にはその位置の空間に応じた側枝を着け,これに結果母枝を発生させる。

 ホリゾンタル整枝
ichimoji.jpg (8171 バイト) この整枝法は著者がハウス栽培向きに考案したもので,樹高を低く仕立て,脚立を使わずに管理作業や収穫ができるようにしたものである。樹勢の強くない品種では一文字型の3段に,また樹勢の強い品種や肥沃地ではH型の3段にするとよい。いずれも人工的に誘引して樹形を作るので,予め地上70cmと1.7m及び3m程度の3段に,亜鉛メッキや樹脂コーテイングした10番線程度の針金,または直径19mm程度の鉄パイプを水平に張っておく。w_itimoji.jpg (5779 バイト)
 一文字型整枝では,主幹の高さ20〜30cmで2本に分岐し,分岐部を十分広げて誘引し,枝先を直立にして1年間育てる。これを地上70cm程度の高さで相反する方向に水平に誘引し,さらに翌年には主枝の分岐部付近から発生する発育枝を1本直立に伸ばし,これを1.7m程度の高さで一方に倒して2段めの主枝とし,1段めと平行に誘引する。その後,2段め主枝の曲げた付近から下方20〜30cmから発生する発育枝を直立に伸ばして育て,これを翌年反対側に倒して他方の主枝とする。


 主枝を倒すときに,葉が枝の左右にくるように留意して倒す。チェリモヤの芽は,葉柄に中に形成され,葉序が1/2であるため,葉が上下になるような倒し方をすると,裏側になった芽は発芽しないか,もしくは弱小なものになり,倒した主枝の上側に発生する枝は直立枝となって強勢になり,その後の樹形維持が困難になる。mage.jpg (7576 バイト)

また,主枝を曲げて倒す場合,曲げる予定の部位があまり太くならないうちに誘引しておくと整枝が容易になる。万一,太く硬化した枝を曲げて折れる心配のあるときは,まず曲げる部位を中心に上下15cm程度の腹側に,15mm程度の間隔で枝径の1/3位の深さに鋸目を入れる。背中側になる部分には枝の太さに合うポリエチレンパイプを断ち割って被せて縛る。ゆっくりと注意して曲げれば折損せずに倒すことができる。ただし,この方法は生育期に行うと曲げた先に一時樹液の流動が制限されて枯死することがあるので発芽前に行う。

 曲げにくい枝は裏側にノコギリ目を入れて曲げる

 主枝の分岐は,いずれも倒す高さよりも30cm程度下から発生したものを選び,無理のないように緩やかに曲げ,枝先が下がらないように注意する。また,倒した主枝の先端部は常に上向きに誘引して伸長を促進し,伸長に応じて水平に誘引していく。冬のせん定時には主枝の先端部は充実した部分まで切り返す。
 こうして育てると3年間で2段の水平主枝の骨格ができあがる。その後,同様にして3段めの主枝を高さ3m程度の高さに作るが,これは主に日よけ用とし,下2段の主枝が日照不足にならない程度に枝葉を配置する。

 H型3段整枝では,一文字型3段整枝と同様に主幹から2本の枝を分岐させ,植付け時に樹列方向と直角に誘引してそれぞれ1mくらいのところで直立支柱に誘引して育てる。高さ3m程度に伸長したら列方向に倒して地上70cm程度の1段め誘引線に沿わせて水平に誘引する。この場合,2本の主枝はそれぞれ相反する方向に倒す。これは,後に主枝が太くなったとき,主枝の基部では側枝やそれから発生する発育枝が大きくなり易いことから,相隣接する主枝のそれとの混雑を避けるためである。

 2年めは,1段めの各主枝の倒した付近から直立枝を育て,これを2段めの主枝とする。3m程度伸びたころに,高さ1.7mの2段誘引線に,1段めの主枝とは反対方向に倒して誘引する。その後同様にして3段めの日よけ用の主枝を作る。 このようにして,一文字型3段整枝,H型3段整枝ともに,それぞれ6本の水平な主枝が構成されるので,これに側枝や結果母枝,結果枝を適当な間隔で配置する。主枝を水平にするため,直上枝が強勢になり易いので早めに芽かきや誘引を行って樹形を維持するように心掛ける。

 また,一文字型整枝と同様に3段目の主枝は受粉時期から真夏にかけての日よけ枝として利用し,繁茂し過ぎないように発育枝を摘芯して生長を調節し,秋になればせん定して下部の日照を確保するようにする。


  せん定と摘葉
 無加温ハウス栽培でのせん定は2月下旬から3月に行うが,徒長枝など,不要な発育枝は随時せん除したり摘芯すればよい。せん定の済んだ樹(14745 バイト)
 各整枝法とも,それぞれ骨格となる主枝や亜主枝が形成できたら,それに発生している充実した発育枝を結果母枝,その後は側枝として用いる。主枝の先端枝はよく充実した部分まで切り返すか,主枝の長さが完成したものでは2〜3節に切り返して結果母枝とする。

 側枝は,骨格となる主枝,または亜主枝にそれぞれ50cm程度の間隔で配置する。
 結果母枝のせん定は,原則として基部の2〜3芽を残して短梢せん定とするが,紡錘形整枝や開心自然形整枝では,枝数の少ない部位や周囲の空間をみて適宜長く残してもよい。しかし,チェリモヤは頂芽優勢性が強く,枝を長く残しても先端2〜3芽だけが萠芽,伸長し,下部の芽は貧弱な枝になるか,隠芽になって発芽しないことが多く,樹冠が大きくなるがその割に結果枝数が増えない。

 チェリモヤは半落葉性で,低温や乾燥に遭遇すると一部は落葉するが,ハウス栽培では殆ど落葉せず残っている。したがって,せん定が済んだら残った葉はすべて葉柄ごと摘葉して一斉に発芽させるようにする。チェリモヤの芽は一般の果樹と異なり,葉柄の離層下に形成される特異な生態をもっているので,葉を残しておくといつまでも発芽せず,発芽が不揃いになる。

  枝幹の日焼け防止
 せん定,摘葉が済むとそれまで生い茂っていた樹が丸裸になり,新梢が発生するまでの間に枝幹は直射光線にさらされて日焼け障害を起こし易い。枝幹の日焼けは,真夏の高温季における直射もさることながら,むしろせん定,摘葉して新梢が伸びだす3〜4月までに起こし易い。これは,樹液の流動がまだ少なく,直射光線を受ける枝幹の温度が異常に高まるからである。したがって,せん定,摘葉が済み次第,直ちに直射光線の当たる枝幹にホワイトウオッシュを塗布する。 ホワイトウオッシュには,炭酸カルシウムと有機ポリマーなどを混合した市販品(例えばホワイトンパウダーなど)を水に溶いて用いると便利である。ペンキ用の刷毛で塗布するか,やや薄めに希釈して肩掛け噴霧器などで散布してもよい。


5.新梢管理
 3月下旬になれば萠芽が始まり,その後展葉して4月以降は急速に新梢が伸長するので,徒長枝になりそうな不要な発育枝は適宜芽かきする。2jikaika.jpg (8874 バイト)
 結果母枝から発生した新梢に花蕾が着生するが,前年生枝にも直花が着くことがある。結果枝になるべき新梢に花蕾が着生していない場合は,新葉が4〜5枚展葉したところで摘芯して先端部の葉を2枚くらい摘葉する。いわゆる蕾待ち摘芯である。摘葉すると4〜5日で萠芽して花蕾が着くことが多く,約1カ月後には開花する。樹勢が強く,花蕾の着生が少ない場合は,こまめに摘芯,摘葉を行って花蕾を確保するとよい。

摘心・摘葉して発生した新梢に着いた花蕾migi.gif (910 バイト)


 新梢は,若木の間は長く伸長して下垂するので,主枝や亜主枝の先端枝は上向きに誘引するほかは,伸び過ぎるような枝は10節くらいで摘芯する。また,着果した枝は果実が肥大するとともに下垂して日当たりが悪くなるので水平か,やや上向きになるように枝吊りをする。


6.環状剥皮
 樹勢が強過ぎて着花が少ない場合や,間伐予定樹を縮伐して枝が徒長する恐れがあるような場合に環状剥皮を行えば着花数を確保でき,徒長を抑えることができる。
 linging.jpg (5816 バイト)剥皮時期は,新葉が展葉して樹液がよく流動し,剥皮し易くなった4月頃がよい。主枝や主幹に接ぎ木ナイフなどで環状に材に達する切れ目を入れて幅2cm程度の樹皮をめくりとる。チェリモヤはカルス(癒合組織)の形成が盛んなため殆ど枯込むことはないが,剥皮部に接ぎ木テープを巻いておくと安全である。
 環状剥皮を行うと樹勢が落ち着き,着花量が増加するが,樹勢の弱い樹に行うと衰弱するので避けたほうがよい。

 

 4月に幅2cm程度樹皮を剥ぎ取る


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1.品種と栽培特性 2.育苗と植え付け 3.整枝せん定と枝管理
4.受粉の適期と受粉法 5.摘果と果実管理 土壌と養水分管理
7.栽培ハウスとその管理 8.病害虫の防除 9.生理障害と対策
10.収穫・出荷法 11.追熟と食べ方 12.参考資料・文献

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