苗木の育成と定植

                  07/09/10


2.苗木のつくり方

 チェリモヤの苗木は寒さに弱いので0℃以下にならないハウスで育苗する必要がある。挿し木法,取り木法でも繁殖できるが,普通は栽培種の実生を台木にして接ぎ木法で育苗する。チェリモヤの実生は他のバンレイシ属に比べて細菌(Pseudomonas solanacearum)による萎凋病に抵抗性があり,とくにホワイトの実生台木が強いといわれている。

  台木育成
 台木用の種子はよく完熟したチェリモヤ果実から採集する。種子は湿ったままで保存するとかびがでて腐敗するので,水洗いして浮くものは捨て,よく充実した黒い種を選別し,数日間陰干しして乾燥したら適当な容器に入れて密封し,湿気のない温度変化の少ない場所に保存する。

 成熟果実から採取した種子
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 3月に種を育苗トレイに播種する。播種に先立って種を1日間水に浸して十分吸水させる。
 播種床には粘土の少ない山土や川砂を用い,生育初期は直射日光に弱いので,木陰に置くか寒冷紗などで遮光する必要がある。発芽して本葉が1〜2枚展葉したらなるべく早めに直径20cm,深さ30cm程度のポットに植えて育てる。
 ポットは,黒色ポリエチレンフィルム製のものがよく,底部に5mm径程度の小穴を多数開けて排水できるようにする。20kg入りの化成肥料の空き袋を利用してもよいが,容量が大きいので用土を多く要し,運搬には重くて厄介である。


  ポット用土は排水のよい土壌にピートモスやバーク堆肥などの有機物を20%程度混合したものを用いるとよい。ただし,ポットの底部には砂れきを数cm入れて排水孔が目詰まりしないようにし,水はけをよくすることが重要である。ikubyo.jpg (13331 バイト)
苗が活着したら秋までに2〜3回,少量ずつの緩効性肥料を施し,乾燥させないように潅水を続けるが,11月以降,気温が下がってからは多湿にすると根腐れを起こすので,葉が萎れるようなことがない限り潅水は控える。
 実生苗は,1年で苗丈1m,根元の幹径が小指くらいの太さに生長し,接ぎ木できるようになる。

  接 木  
 穂木には,日当たりのよい枝からよく充実した発育枝を2〜3月の休眠期に採取して用いる。葉は葉柄の付け根でハサミで切り取り,束ねてポリフィルムで包んで10℃程度の室内に保存すれば,数日〜1週間すると葉柄が離脱するようになるのでこれを用いて接ぎ木する。採取した穂木を直ぐに用いてもよいが,葉柄が付着したままテープで巻くと,後に葉柄が腐敗して芽を損なうので注意しなければならない。貯蔵中に脱落した葉柄も包んだままにしておくとかびがでて,穂木を傷めるので注意する必要がある。なお,穂木の貯蔵は0℃以下の低温は危険である。また,穂木が乾燥すると葉柄が萎れて落ちなくなり,このような穂木を使用すると活着しない。


 接木方法は切接法がよく,台木が細い場合は割接法でもよい。無加温ハウス栽培では2月中下旬から3月上旬が接ぎ木の適期で,4月になって台木の樹液が流動し始めると切り口から樹液が流れ出し,活着が悪くなる。
 接ぎ穂は,通常2節位の長さに切断して接合部の表皮を薄く削る。台木は,地際から4〜5cmで切り取り,形成層がでる程度の厚さに切り込み,穂木と台木の切り口の形成層部を合わせるように挿入する。
 接ぎ木の結束には,幅2cm程度のパラフィルムやメデールを用いると便利である。まず台木と穂木の接着部をフィルムを広げて縛り,続けて穂木にもパラフィルムを巻き付け切り口までかぶせるようにして巻く。1〜2節に裁断した穂木に予めパラフィルムを隙間なく一重に巻き付けておいて接ぎ木し,接着部をフィルムで縛るようにしてもよい。
 台木の切り口や,穂木上端の切り口には半日もたてば水蒸気が溜まってる。活着した穂木は2週間もすれば発芽し始めるが,自然にパラフィルムを破って出芽するのでそのままにしておく。活着に失敗した場合は台木を切り直して接ぎ直しすればよい。

  育苗管理
 接ぎ木の直前や活着して発芽し始めるまでは,水分が多すぎると活着がよくないので潅水は控える。穂木が発芽してくるまでに台木から不定芽が出てくるので伸びないうちにこまめに芽掻きする。穂木からも何本か発芽する場合は丈夫なもの1本だけ残して芽掻きする。 新芽が伸びはじめると,アブラムシが寄生することがあるので注意して防除する。新梢が伸び始めたら支柱をしてこれに誘引し,直立に育てる。ただし,仕立て方の項で述べるように,ホリゾンタル整枝や双幹形整枝で仕立てる場合は,苗丈が30cm程度に伸びたら摘芯して上部の葉を2枚だけ摘葉する。摘葉した部分から2本の新梢が伸びるので,これをY字形に誘引して育てると苗木のうちからすでに2本の主枝候補が形成できる。


 梅雨が明けて日射が強くなると寒冷紗を張って幾分遮光する方が生育がよい。また,土壌は乾燥させないように適宜潅水するが,ポット土壌の底部が固まり,排水が悪いと根腐れを起こすので注意しなければならない。とくに,秋になって気温が下がってくると過剰な潅水は避け,冬季は余ほど乾燥しない限り,潅水しないほうがよい。
 肥料は,有機質肥料が安全であるが緩効性の化成肥料を少量ずつ2〜3回に分けて施してもよい。
 苗木は順調に育てば11月ころまで伸長するが,1.5m程度で摘芯して枝を充実させるようにする。冬になって気温が低下するようになると,0℃以下に遭遇させないようにハウス内に入れて防寒する。


3.植付けの実際

  植付け時期と植え方
 栽培地への植付けは,低温の心配がなくなる5月以後が安全である。ポット苗の場合はその後いつ定植してもよいが,ポット植えのまま長く置くと根が絡み合うのでよくない。早く定植すればそれだけ生長も早くなるので6月ころまでには定植するのがよい。なお,地植え苗の場合は移植時に根を切断するので,発芽までに植えるほうがよい。


 植付けに当たっては直径50cm,深さ50cm程度の植穴を掘り,完熟堆肥などの有機物や有機質肥料を土によく混ぜて施し,やや盛り上げて植える。深植えすると株際が褐色腐敗病などに侵されることがある。大雨で浸水の恐れのあるようなところでは畝幅1.5m位の盛り畝にして植え付ける。
 植付けが済んだら株元に敷ワラをして十分に潅水し,支柱を立てて枝を上向きに誘引するが,この時,枝先を充実した部分まで切り返しせん定する。

  栽植間隔
 栽植間隔は,品種や土壌の肥沃度,その後の仕立て法によって変えなければならないが,一般的には開心自然形整枝の場合は5m×5m,主幹(紡錘)形整枝の場合は4m×4m,双幹形の場合は列間5m,株間4m,ホリゾンタル整枝で一文字の場合は列間隔2m,株間6mに,H型の場合は列間隔4m,株間は3〜4m程度がよかろうと思う。いずれにしても,ハウス栽培で十分に成木化した事例がないので,間隔が狭すぎるようであれば,成長状況をみながら間伐して間隔を広げるようにする。


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1.品種と栽培特性 2.育苗と植え付け 3.整枝せん定と枝管理
4.受粉の適期と受粉法 5.摘果と果実管理 土壌と養水分管理
7.栽培ハウスとその管理 8.病害虫の防除 9.生理障害と対策
10.収穫・出荷法 11.追熟と食べ方 12.参考資料・文献

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